人生エクソダスしてなにものからも自由になりたかった

遁世したい。でもできない中年男の独白。

つい買ってしまったSeagate Skyhawk 14TB [ST14000VX0008]

 Seagate Skyhawk 14TB 3.5インチ 7,200rpm ST14000VX0008買ったった…

  詳しいスペック表は https://www.seagate.com/www-content/product-content/skyhawk/en-us/docs/100818528b.pdfで、Seagate Skyhawkとは監視用HDDとはなんぞやという話は、InternetWATCH様の記事の  https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/ipcam/1094096.html を読んでもらえれば。

 なんでSkyhawkかというと、おそらく個人向けのスタンダードはBarracudaだが、これの8TBまでは空気充填とSMRという書き込み方式のため2TBプラッタ4枚という省エネ仕様を実現させるために速度がなかなか犠牲になっていて、1回目の書き込みのときはそうでもないが書いたり消したり読み込んだりを繰り返すうちに速度の落ち方が厳しく、写真のように1個あたりのデータが動画よりはるかに小さいものがたくさんあるフォルダの割合が多いと特にそれが顕著だったりする。

 かといって上位互換のIronwolfは値段が1.5倍余裕な感じで、例えば8TBだとBarracuda14500円・Ironwolf24000円とかで全く上段きついですよという価格差だが、日立なんかどこで売ってんの状態でWDは29800円、東芝27000円くらいでなんだかんだSeagateが一番安いんだなあという話になってしまう。

 がこれが10TB以上の容量の一般の人が必要としないであろうランクになると、どのメーカーもプラッタ詰め込むのが精いっぱいなのでヘリウム充填とか途端にハードルが上がるので値段も一気に吊り上がる。12TB29800円で買えれば儲けもんで35000円が相場、14TBでは39800円が最安値で5万6万当たり前、16TBに至っては8万が普通だ。パソコンもう一台買えるわ!

 という状態だったが、8TBでたくさんHDDを繋げるのにも限界を感じでいたので思い切って買ったろ!と思ったのだ。どういうわけかSkyhawkだけが安く、一般向けなはずのIronwolfは全然手頃感がないので、14TBという容量だけを見て決めたのだ。

 

 上の記事にある通りならSkyhawkとはずーっと監視カメラの録画したデータをだらっと書き込みつつ動きが大きくビットレートが膨らみそうなところで回転数を上げる仕様になっているらしく、また監視カメラ向けという仕様のため”書き込み9:読み込み1”くらいの力配分偏重バランスの仕様らしい。
 この通りなら普段使いを考えている私のような人間からすると、読み込み速度は大事じゃないと宣告されているに等しい話なのでやらかした感がある。8TBのSkyhawkはAIによって書き読みの比率を1:9~5:5で最適なものに可変させる高度な仕様らしいのだが、そのSkyhawk AIの末尾はVEであり、このHDDは末尾がVXなので普通のSkyhawkの大容量版ということだと思う。とすると上記のカタログスペックによると読み書き速度が目安220MB/sということらしいので、Ironwolfの250MB/sやEXOSの260MB/sより遅いということになる。廉価版のBarracudaといえど大容量版のヘリウム充填タイプだったりすると回転速度7200RPMで250MB/sの公称値なので、見かけ上一番遅いということになる。

 まずサーフェステストをして大丈夫か確認するわけだが14TBもあるととてもとても時間がかかる。BarracudaのST8000DM004は回転速度5425RPMで当初10000MB/分の速度でええなあと思っていたら末期の方では8000MBくらいまで落ちて残り時間が増えたり止まったりすることがあって、まあ半日は持っていかれる。このST14000VX0008はというと、

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 こうなった。最初14000MB/分で早いなあ流石7200回転だなあと感心していたが終わってみればこの始末。丸一日やんけ。やっとこ終わって使ってみたところ、

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 空の状態。速度が読み・書き共に250MB/sなのでスペックより調子が良い。

 半分使ったパーティションはというと、

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 THE 半減。

 しかしそれでも、

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 これが瓦であるSMR-4によるこなれたHDDの読み書き速度。リードは頑張っているが書き込みが露骨にリードの半分。これでもさんざんデフラグかけた結果でこれで、そこまでじゃないとシーケンシャルが読み110MB/sくらいまで落ちる。

 結論、Skyhawkは普通に使える。

 ただし、SkyhawkはただのHDDではない。ImagePerfect™ファームウェア搭載はカメラとの連携が強みという話だが監視カメラ向けの接続機器がないと存在を感じ取れない。普通にPCにつないでソフトで見る感じではない。SkyHawk Health Management (SHM)も同様で、これらは例えばNASをつないだ時に管理用ソフトがGUIで見ることができるように、監視カメラの記録媒体としてつないだ時にお世話になる代物だろう。

 また長期保証であるSeagate Rescue Services(SRS)は、氏名・メアドと共にHDDのシリアルナンバーを入力し登録する必要があり、売るとき解除すればいいのか中古で買ったときもし重複しちゃったら登録できるのか謎がある。が3年保証なので必要なら登録すべきだろう。

 さらなる結論を言うと、普通にPCに内蔵HDDとして使う場合Skyhawkは充実したオプションの恩恵にあずからない、ただの高耐久HDDだ。しかしHDDが高耐久なら最高だろう。なんだかんだ長時間録画用HDDだけあって耐用時間がえらい長い。そしてIronwolfにもついてるRVセンサーによる振動補正でレイテンシを抑えているので普通にNASに入れてもよい。温度も0~70℃まで大丈夫と謳っているのでこれも密閉環境のNAS向きだ。

 

 備え付けに関して言うと、横のねじ穴は普通のHDDと同じで、下のねじ穴は昔のAS002みたいな箇所。なのでシャドウベイに固定するとき横を留めるときはいつも通りでいいが下を留める場合深く差し込むことになる。
これはどういうことかというと、ケーブルを刺したときの周辺空間がとても窮屈ということだ。鈎状(L字型)になっているケーブルは電源もSATAもあるので、そういうのを持っている人はそれを使ったほうがいい。
それか2か所留めにしてもう2か所はただゴムワッシャーを挟んでおくだけというのも手ではあるが、HDD自身の振動によるレイテンシを軽減するためにわざわざ専用のセンサーなんかつけているのに懸念材料を増やしていくのも変な話なのでおすすめしない。横で留めるかケーブル周りの空間をなんとかするかという話になるだろう。

 

 このHDDのすごいところはこれで39800円で売ってることだ。普通の人からすれば高い!となる話だが、ヘリウム充填タイプのHDDが値段が跳ね上がること、HDDの相場でいかほどかを知っていれば超がつくお買い得HDDだ。

 同じ容量であるWestern DIgitalのGOLD・WD141KRYZは64800円SeagateのIronwolf・ST14000VN0008は50000円東芝MN07ACA14Tは割安だがそれでも48000円だ。

 8TBのHDDから考えると、SeagateのIronwolf・ST8000VN004は23800円だ。つまり2975円/TBとなる。このST14000VX0008は39800円なので39800/14=2842.85となる。つまり2843円/TBとなり、1TBあたりの値段もこちらの方がコスパ良好となる。

 しかし実際問題14TBなんてでかすぎていらんねんという話ももっともなことだ。だがBarracudaを2台やりくりしているならこれで1本化してしまったほうが得になる。具体的には消費電力がHDDの台数が減る分だけ余裕ができ、3.5インチシャドウベイも台数を減らせるので風通しがよくなって温度管理に余裕ができ、Barracudaは5425RPMなので7200RPMになることでディスクアクセスの速度が20~30MBくらい良くなる。とりわけ書き込みがSMR-4と従来式で差がつく(SMRだと書き込み=読み込みの1/2、従来式は書き込み≒読み込み)ので、HDDってこんな早かったっけと思う機会も出てくるだろう。

 逆にこれを買わなくていい人は、クラウドストレージにデータを保存しててパソコンは必要最小限、そもそもノートパソコンだから内蔵できない、パソコン開けてHDDの付け外しが億劫、そもそも一時的に出ていく金が大きい、という人だろう。そういうライフスタイルの人には向かない。あくまでミニタワー以上のデスクトップ使ってる人には選考の価値ありというくらいのことだろう。