人生エクソダスしてなにものからも自由になりたかった

遁世したい。でもできない中年男の独白。

今まで使ってきたヘリウムHDDの使用感を述べる

※あくまで個人の感想です。

 ここ数年HDDはオワコン、時代はSSDと風説が流れるものの、実際CMRで22TBのHDDをWD・Seagateが出し、東芝も18TB(プラッタ9枚)のHDDを出している。価格はコスパという言葉が辞書に載ってないレベルなので一般人が買うようなものではないが、しかし現物としてSofmapやらパソコン工房で買うことができるわけだ。

 対してSSDは2TBまでなら1TB-1万円のコスパが見込めるが、4TBだと最安4.5万円、それ以上のサイズなどどこで売ってるのかという有様なので、完全に需要に対して住み分ける状態になっている。

 8TBを超えるHDDはヘリウム充填式という特殊加工が必要なものなので価格の上がり具合が大きく、常人は8TBのWD BLUEやBarracudaを1.5万円で買えば済む。

 2020→2021の1年でヘリウムHDDは14TB-3.7万円でTBあたりのコスパ最強格として存在していたが、2022でさらに安くなるかと思いきや半導体不足とロシア侵略で物資不足、1ドル150円の円安で値段据え置きどころが値上がりしているような状態だ。

 しかしそれでも16TBのHDDが4万前後の価格帯に落ちてきたので16TBのHDDは今なら買い得なのかもしれない。一方BackblazeのHDD故障率だと14TBが1%切ってるのに対して16TBが1.4%など、結構無視しがたい安定感の差がある。

 ここまで買って使ってきたヘリウムHDDの使用感について述べていくので一助にしてもらえると嬉しい。

 

Seagate Skyhawk

 Skyhawkシリーズは監視用というもので、NAS用のIronwolfやその他Barracuda、企業用EXOSとは異なる用途向けに最適化されてるらしい。つまり24時間動きっぱなしの状態に強さがあるようだ。

 一般的にSkyhawkに限らず14TBのHDDは16TBに比べて10MB/sくらい読み書きが遅く、これもだいたい220~240MB/sでアクセスする。音は割かし静かで、使った感じも普通に使える状態。

 日本ではあまり出回っておらずアメリカでもこのシリーズはEXOSよりお高い。自分がPGダイレクトで32800円で買えたのは、今思えば奇跡だった。

 安定感があるということがプライスレスであるということを、買った当時は気付かなかった。

 

Seagate EXOS

 取り扱いが非常に難しい。

 価格はかなり安めで、正直海外だとIronwolfの方が高い。つまりSeagateのヘリウムHDD最安はEXOSシリーズである。

 他メーカーのHDDとSeagateのHDDはフォルムが違うが、EXOSはさらに基盤が異様に小さい。最近リファービッシュ品を買って使っているが時々鳴るンガガガガという音はまだ出くわしていない。しかし初めてEXOSシリーズを買ったときはこの突発的な轟音に非常に面食らった。

 最適化がやたら遅い。

 NTFSエラーによってデータの全損が起きたのも、ディレクトリが見つかりませんで修復が必要だったりしたのもEXOSで、スペックや価格云々以前に心証が非常に悪い。デュアルパリティなどでバックアップ込みで複数台運用するなら速度・容量比は申し分ないのでそういう需要はあるかもしれないが、シングルで利用するのは非常に勇気が必要だろう。

 

WD Ultrastar

 ザ・パフォーマンス

 アクセス速度・消費電力・価格ともにハイレベルで、普通の人は買う候補にも挙がらないが、なぜかそれは日本に限った話でアメリカだとEXOSより2~3千円高い程度、つまりIronwolfとどっこいである。

 消費電力もさることながら発熱もなかなかのもので、油断すると38℃近くに至る場合があるが、そんな長期アクセスする運用をするならもっとケースファンに気を遣えという話なので、このHDDにケチをつけるより冷却機構を見直した方がいい

 長時間デフラグの中止など、結構負担がかかりそうな使い方をしても全くエラーを出さず、しかも半分以上使ってもディスクアクセスは安定して速度が出る。

 安物のSSDのようにキャッシュが切れた途端重くなりアクセス不能になるようなものを買うくらいなら、このHDDを買ったほうがイライラしなくて済むだろう。

 かつてHGSTという会社があって高品質で親しまれていた。今も神奈川にあるがはたしてアクティブなのかわからない。

 1ドル120円台に海外で買えれば関税込みでも1万くらい安く買えたが、150円/USDの今となっては風見鶏やPGダイレクトで買った方が早くて安全である。

 

東芝 MNシリーズ

 日本にもこんなHDDがあるんだ!

 2020年代では歯牙にもかからなかった存在だったが、一般流通するようになったら最安の価格帯によって、値段の東芝・性能のWD・あいだのSeagateという構図になった。なぜかヘリウムHDDの方が6~8TBのHDDよりコスパがいい。

 性能は普通。アクセス速度はSeagateと同レベルかちょい低いくらい。消費電力もアイドル4.5Wは標準。東芝MGシリーズに比べると耐用保証が少な目、その分価格も安め。アクセス時カチッ…カチッ…と音が鳴ることがあるのが不安を掻き立てるが何かおかしいわけではない。

 MNシリーズは使い方によってシークエラーレートが異様に悪化することがあり、自分の場合脅威の”1”を記録した。最初MN07ACA14Tを使っていた時これに出くわし、不具合だとびびってバックアップ後論理フォーマットして売り払ったが、そのデータ引っ越しの際に何故か数字がみるみる良化していった。最初はMN07がMN08の旧式(キャッシュが256MiB)だからこうなったと思っていた。しかしMN08ACA14Tでも同様のエラーに出くわし、たまたま外れを引いたわけではないことが分かった。

 原因は巨大な動画ファイルと小さな写真ファイルが近いセクタに混在していたことで、巨大ファイルをデフラグソフトでディスクの最奥に配置することで数値は改善され、1から100に回復、つまり完治した。シークエラーレートがHDD故障の指標としてあてにならない理由を見た気がした。

 

東芝 MGシリーズ

 国産HDD最後の希望。

 かつて日立グローバルストレージテクノロジー(HGST)と呼ばれた会社はWDに買収後ブランドも消滅、今ある1次生産者はSeagate・WD・東芝の3社のみとなった。他メーカーのHDDは実はリファービッシュなのでOEMですらない。

 MNシリーズはカジュアルなNAS向けだがMGシリーズはがちがちの企業向けHDDであり、耐用年数の保証も3倍くらい違う。当然値段もちょいと(3000円くらい)お高い

 性能はそこまで差異はないが、MNシリーズで出くわしたシークエラーレートなんぞ100から微動だにしない。かなりの安定感をもって利用できるというわけだ。

 MNシリーズと性能の差異は無いということはアクセス速度はドベであり、単純性能で選ぶなら見劣りする。しかし他社に比べて圧倒的に安く、同容量だと5千円どころが1万円安かったりする。海外で売られるMGシリーズは高いので対象外だが、EXOSやWD REDが安いといっても送料と関税を足せば国内でMGシリーズを買うのと大して差がなくなるケースもある。

 これは国内でドスパラパソコン工房で買うべきものである。TSUKUMO?ホロライブのグッズが欲しいならどうぞ…。

 

 いかがだっただろうか?

 速度を追求したいならSSD(NVMe)、バランスならSATASSD、容量コスパ追求ならHDDという使い分けがずいぶん浸透したと思う。

 しかし数年前から言ってることは変わらず、SSDがHDDを取って食うレベルには至っていない。DC向けのSSDで7.5TBが7万というのがあるようだが、これを買ったからすべて解決するような話でもなく、ただ高い買い物をするだけである。