突然現れた大容量HDD Seagate「ST24000DM001」を試す
Seagate ST24000DM001 はコスパ重視のBarracudaシリーズのHDDだ。
Seagateはいつも私が使っている企業向けのExos、NAS向けIronwolf、監視向けSkyhawk、そして大衆向けBarracudaのラインナップにPro版など多少のマイナーチェンジが入るブランディングだが、Barracudaといえば8TB15000円台で市場を席捲したST8000DM004が有名だろう。
SMRに対してマイナスイメージがあったり、実際本来の性能が出せない使い方をされたりで評価が分かれるHDDだが、古くからアーカイブHDDと言われてきたタイプのHDDではある。
昔はその中でもBarracudaはSMR、もっと大容量のBarracuda ProはCMRと別れていたが、最近BarracudaのPro版はなくなったようだ。
しかしこのST24000DM001はSMRではなくCMRである。ランダムアクセスに耐えうるし、データの書き換えに神経質にならなくてもいい。しかし24TBなのに5万円しない超コスパなのは本当に大丈夫なんだろうか?同じく市場を席捲したWDのWD80EFZZのように鈍足なのか?というのも試していく。
上のSeagateのページにデータシートが置いてあり一部抜粋すると、
・キャッシュ512MB
・最大データ転送速度(SequentialRead/Write) 190MB/s
・作業負荷 120TB/年
・年間通電時間 2400時間
ということらしい。
24TBはWindows上でフォーマットすると21.8TBとなり見た目の減り方ががっかりだが宿命のようなものなので受け入れるしかないので、買った時に最初にやる儀式であるサーフェステストも相当時間を喰う。


総時間33時間40分にわたり不良セクタチェックが必要になる。
このとき外周14980MB/分~内周11318MB/分ということから転送速度は250MB/s~188MB/sとなる。
実際CrystalDiskMarkで計測すると

となり、これは前回の
ExosのST26000NM000Cより微妙に速い。
しかし良いことばかりでもなく、室温は前回と変わってないのにサーフェステスト中の温度がST26000NM000Cは38℃から上がらないくらいだったのにST24000DM001は40~41℃で推移しているので発熱が多く感じる。
さらに上記の仕様からしても作業負荷120TB/年というのはサーバー向けHDDが550TB/年なのを考えると明らかに少ないし、年間通電時間2400HはIronwolfやExosの8760Hよりも耐久に難がある計算だ。
むろんサーバー向け・NAS向けHDDというのは24時間通電しているのが前提の作りなので比べるのは野暮だが、データの書き込み・書き換えを1年の間に120TBを超えると怪しいというのであればAVIなど可逆圧縮データを保存&エンコード後削除を繰り返していれば達する可能性は十分ある。
また2400Hというのも365で割れば1日6時間ちょっとなので、無アクセス時に電源を切る設定でなければパソコンの使い方次第で達してしまう可能性が十分ある。
ここから推察すると、結局SMRでなかったとしてもこのHDDの使い方はデータ更新が少ないコールドデータ向けで、あまり使わないときは取り外すリムーバブルな接続方法で扱うことになるのだろう。
最近ExosやUltrastarなどサーバー向けのHDDばかり使ってきたので忘れていたが、本来HDDは頼りない、利用環境に気を遣う繊細なものだったということを思い出した。まあ壊れなければ杞憂に終わるわけだが、同時に壊れた時は最大21.8TBのデータが破損する可能性も孕んでいる。
滅多に使わないが消すには忍びないデータの保存先として、あなたもどうぞ。
