人生エクソダスしてなにものからも自由になりたかった

遁世したい。でもできない中年男の独白。

調べても困惑する「AMD StoreMI」を用いる

 自分のHDDはST8000DM004とST8000AS002が現行で活躍していて、それらには(電子書籍的な意味で)自炊した画像の入ったパーティションエンコードした動画の入ったパーティションと分けることで、デフラグの効率を上げてアクセスの速度を上げようという目論見があった。だがそれも限界に至って、フォルダを開いても中身が確認できるまで非常に遅くなったので、SSDとHDDを組み合わせることで速度を上げるAMDの「StoreMI」を使ってみることにした。

 自分のPCのマザボはH570 Steel Legendなので無料で使えることから試してみようと思い立ったのだ。がこれがなかなか構成に手間取った。

 

 まず、StoreMIで検索した時に出てきたPCサイトやブログの画像と、今自分がインストールして出た画像が違う。これに困惑した。あるはずのメニューがないのだから。幸いなことに選択肢が後に移動しただけ(昔「OSドライブをTier、OSじゃないドライブをTier」、今「新規Tier→OSですか/違いますか」)なのでこれは理解できた。つまり最初期にStoreMIが出ましたのバージョンが1.3くらいで、今が1.5なのだから相当見た目も変わっているのだ。

 キャッシュが2GBというのはメインメモリから別枠で2GB拝借するというもので、作成したドライブを仮想SSD(Virtual SSD)に設定しなければ使えない。これによって「Crystal Disk Mark」では読み3GBとかいう異次元の数値が出てくる。SSDの一時キャッシュ有効化することで爆速化するソフトがSAMSUNGとCrutial(Storage Executive)から出ていたのでこれを彷彿とさせた。

 がこれが曲者で、仮想SSDにしてキャッシュを2GBもらったことで謎のエラーが頻発し、ほぼ毎分エラーが記載されたレポートを見せつけられた。デスクトップに収納されたStoreMIのアイコンがエラーがあることで真っ赤なり、しかも理由がすべて同じという状況。仮想HDDに変更したことで一切エラーが出なくなったが、エラーログも履歴抹消・証拠隠滅されたので結局あれはなんだったのか確かめる方法がなくなった。これによって(仮想HDDとすることで)DRAMキャッシュが使えなくなった(RAMキャッシュが使えるのは仮想SSDだけ)ので読み書きがギガの世界ではなくなったが、それでもHDDとSSDの合いの子くらいに速度は出るようになった。仮想SSDでRAM Cacheなしならエラーも出ないのかもしれないが、現状安定しててデータのコピーも終わった後で、また移動してうんたら実験する気持ちはさすがに起きてこない。

 SSDだと読み書き500MB、HDDが読み書き140MBくらいで、この仮想HDDが読み300MB/書き200MBくらいは出るので、本来の目的であるエクスプローラの速度アップは叶ったことになる。しかし今まではどんなに遅くてもフォルダがフリーズすることはなかったが、この仮想HDDに作成したフォルダは読み込みが長すぎるとフリーズするようになった。この状態でマイコンピュータから同じフォルダに入るときちんとファイルが表示されているが、フリーズしたフォルダを強制的に閉じるとエクスプローラが再起動する。

 基本的にブートドライブを使わない場合はSSD・HDDともにブランクにしておく必要があり、またStoreMIでは256GB以上キャッシュとして使ってくれないので、余った分はVDRIVEとして別個放置される。なのでここに新しくパーティションを作ってもいいが、そもそもSSDから256GB抜いた余りなので半端な量であり、自分が使ったSSDが525GBだったので残りの231GBでVDRIVE作ってくれたものの有効利用しづらい微妙な値になった。当然ドライブにデータが入っていたらStoreMIできないので、どちらもバックアップを取ったのちにパーティション削除して空にしてからでないと作業できない。
 HDDはもちろんのこと、SSDを大きなものにしたいとかブート用のSSDが1TBで余裕あるなあ…とかでStoreMIの構成を直そうと思ったら、↑の理由から、①StoreMIの解除(SSD分はHDDに保存、VDRIVE使ってたらこれの中身のバックアップ)、②HDDからバックアップを取ってHDDのデータを空にする③換装④StoreMIの構築、(パーティションの構築、)⑤バックアップデータの移し替え、となり、データ量次第ではかなり手間になる。


 StoreMIではHDD+SSDのTierしたドライブの、”Tiering Rate”/”Tiering Priority”/"RAM Cache"という項目が変更できる。”Tiering Rate”/”Tiering Priority”Agressive/Normal/Slow/OFFからなるが、DRAMキャッシュが2GB設けられている場合OFFから変更できない。キャッシュはSSDDRAMかの一方だけということらしい。こうして考えるとStoreMIで作った仮想HDDはSeagateのFirecuda(ハイブリッドHDD)に似ている。オプションでDRAMをキャッシュにできるFirecudaというところだろうか。
 ※「Tiering Rate」が設定を変えてもしばらくしてオフになる。Priorityの方は設定が変わることがなかった。理由の可能性を考えるなら、HDDが節電のために電源が切れることでRateの設定をしても電源が切れたときにオフになる、ということなのかもしれない。そもそもこの値がどういう効果があるのかもわからない。

 Raid0やんと述べているブログがあるように、HDDかSSDのどちらかがおしゃかになった場合どっちもアウトになる可能性も十分ある。特に、新調したのでなく余ったHDD/SSDを使ったものなら寿命が減ってるぶんだけ尚更リスクがある。結合を解除する場合SSDに入ったデータはHDDに移される(ため、HDDの空き次第では退避できないことになる)らしいが、故障によってどちらかが認識しなくなったときにどういう挙動をするのかはわからない。
 RAID5がパリティで1台壊れても補修できて安全と言われつつ、複数HDDの導入が同時だったゆえに連鎖的に寿命が来たり機器由来の故障が同時に来たりでお釈迦になるリスクがある、とよく言われるように、さすがにHDDとSSDの寿命が違うとはいえ事故ったドライブを再利用するのはよくないだろう。SMARTに問題なくても、HDDならまだ売って金にできる。SSD?売れないよ。中古買取価格の安いこと安いこと…

 Tiering Rateがしばらくしてオフになること、そもそもRateとPriorityの値によってどのくらい違いが出るのかデータとして検証結果が記事や動画で上がってるわけでもない。だからといって自分で実験する勇気もない。なのでStoreMIを無難に使おうと思ったら、
 ①メインメモリ32GB以上は容量積んで
 ②SSDどうせ1組しか使えないので256GBで十分
 ③RAMキャッシュ2GBはオン
 ④コピーしたときエラー吐きまくるけどベリファイ問題なければスルーで
 ⑤HDDから引っ張り出してRAMにのっけたデータの通信速度を存分に体感する
 こんなくらいで留めて細部の追及は考えなくていいのかもしれない。

 スタートメニューに常駐しているStoreMIのアイコンにマウスポインタを置くと、「Tier Drives」「Promoted」「in Queue」という3つの数字が出てくる。
 ドライブは1以上増やせないので1なのはいいとして(逆にStoreMI起動してても仮想ドライブ作ってなければ0になる)、「Promoted」とはなんぞや。google翻訳では昇格と出てくる。とするとHDDから引っ張ってSSDを1次キャッシュしたデータの総数を記録しているのかと思う。ただそれがどういう意味を持つかはわからない。
 「in Queue」クエウエってなんぞと思ったらキュー(順番待ちの行列)のことらしい。これは逆にHDDに書き込みしたときに一時的に膨らんでいるのが確認できたし、しばらくたったら小さくなっていたので、HDDのデータ書き込みはSSDの1/3~1/4くらいの速度なことを考えれば、HDDに書き込むデータの順番待ちというように考えられる。実際データ書き込み終わったはずなのにHDDから書き込みのボリュボリュいう音がずっと聞こえてくるのでそういうことだと思う。
 この「in Queue」が曲者で、ここが0Bではない、つまり書き込み待ちのデータがある状態でスタンバイ・休止状態を行うと、一見きちんと休止と復帰ができるのだが復帰してから全く操作が利かなくなる。そして強制終了して再起動すると「VMAP Error」と赤いアイコンがスタートメニューに鎮座することになる。回避するのは単純で「in Queue」がない状態でスタンバイ・休止状態にすればいいわけだが、問題はその書き込み保留のデータは消えたのか退避されているのかはっきり調べないといけないということで、データロストのリスクがある以上安全な状態になってからPCを眠らせるべきだろう。なお私の場合デフラグでそうなった。この程度のことでこんな大げさな問題になるのだ。


 総評 StoreMI