SEAGATE EXOSシリーズというのはエンタープライズ向けのHDDで、IronwolfやBarracudaとはそもそも売り場からして違う。日本で買えるとすれば並行輸入品を扱う会社かPGダイレクトのようにサーバーを販売している業者からとなる。
特徴としてはIronwolfと同価格かそれより安く、しかも性能は企業向けだけあって上級、という非の打ち所がないHDDだ。
と言いたいところだが、このHDDで私はデータの全損&&不良ディスク化、2年後リファービッシュを買って1週間でchkdsk/fでファイルの削除をする羽目になり、値段で飛びついたことを心底後悔した。
当初はEXOS特有の問題か、自分のパソコンとの相性かを考えた。しかし問題はそこではなく、SATA電源のタコ足配線による電圧不足だった。
EXOS(ST16000NM001G)のデータシート
https://www.seagate.com/www-content/datasheets/pdfs/exos-x16-DS2011-2-1910JP-ja_JP.pdf
東芝MG(MG08ACA16TE)のデータシート
Ultrastar(WUH721816ALE6L4)のデータシート
を見比べると、
- EXOSはアイドル5W・最大10W
- MGはアイドル4W・最大7.63W
- Ultrastarはアイドル5.6W・最大6.5W
と明らかにEXOSは電気を食う。計算だとEXOS2台とUltrastar3台で電力消費が同レベルという話である。Ultrastarすごすぎじゃ…
たかが3~4Wの話だが、HDDが一番電気を食うのは起動時か100%動いてる時なので、ブートで全HDD電源投入時つまづく可能性もあるし、ファイルのいっぱい入ったフォルダを開けたり長時間書き込みしたりしたときに落ちる可能性もある。自分の買ったEXOSも電源投入回数が1週間で2000回と非常識な値をしていた。
なのでEXOSが悪いというのは濡れ衣なのだが、普通のHDDのような気分でSATA電源ケーブルの枝分けをすると、エンジンがかからない車のように吹き上がらず故障を起こす原因になってしまう。
ペリフェラル4ピンからの枝分けのとき、HDDを繋ぐ台数をよく考える必要がある。 経験から言うと4台が限界だが、万全を期するならHDDではなくSSDをつなげるなどして全体の電力消費が抑えられるように繋ぐものを工夫する必要がある。それ以上の台数にする場合、別のケーブルから電源を持ってくるか、そもそも電源ユニットをさらに大型のものに変えるなどの工夫が必要となるだろう。
HDDがカチンカチンと鳴ったり電源投入回数が不自然に多いのを見つけたら、電源ケーブルの繋ぎ方を再考するべきだろう。
パワーサプライに余力があるなら、EXOSシリーズは安くて速い、ブランド再編前のBarracudaのような使い勝手(結構熱い・電気食う・安い)になるだろう。
Ultrastarは電気を食わないという話で進めていたが、
Ultrastar DC HC550 | Western DigitalのProduct Manual: Ultrastar DC HC550 SATA OEM Specificationにおいて6.3.2 Power supply current(33P)で最大消費(Max Power Workend)9.5Wとなっているので、実質EXOSと大差ないということになる。
Ultrastarは電源断でデータ保護が云々と謳っているので、知らず知らずのうちにそういう保護の恩恵を受けていたのかもしれない。