※10TBくらいのラインは絶妙なので除外します。14~16TBを想定しています。
今のHDDは、だいたい8TBまでは普通の空気充填で済む(プラッタが4~5枚だから)。
が10TB超えるとプラッタをそれ以上にしないといけないので空気充填では足りずヘリウム充填でないといけなくなる。ざっくり言うと普通のHDDでもプラッタ同士の間隔が0.8mmとかそういうレベルの話なので、ただの空気充填だとプラッタ8~9枚のときの間隔まで持ってこれないためだ。
技術革新でプラッタ1枚当たりの記憶容量が増えれば改善されるかもしれないが現状は頭打ちで1枚2TBが今の限界というところなのだと思う。ゆえにプラッタ枚数を増やすためにHDDには限界までプラッタが差し込まれて、当然ヘッダの数も増やすことになるのでヘリウムのような空気より抵抗のない気体でHDD内部を密閉せねばならんとかそういう話になってくる。
8TBまでは熟れた技術なので今では¥14500くらいで買えるところまで下がってきたが、10TBとなると途端に2万後半になってしまう。これは
プラッタ枚数を増やす→プラッタ間隔を詰める→高い工作精度が必要・ヘリウム充填の必要→ヘリウムが抜けないような機構が必要→値段高くなる
つまり安く上げたいなら8TBが限界で、そこから先は異様に高価なHDDを買わないといけないということになる。しかしNASも普及した現在(却ってネットストレージを使うので現物を持たないかもしれないが)、その安価な8TBのHDDを組み合わせてRAIDを組めばネットで外部からアクセスできるし便利なのであえて大容量HDDを買う理由もないかもしれない。
が実際どうだろうか。
そもそも上で挙げた8TB-14500円くらいのHDDというのはSeagateのBarracuda「ST8000DM004」のことで、これはSMRという通称・瓦と称される半分重ね書きしたような書き込み技術によってスペースの節約に努めたものだ。が改良されたとはいえ書き直しは普通のHDDより遅く、プラッタの回転数も5400RPMなので省電力HDD相当であり根本的に一般的なHDDの7200RPMより遅い。
また昔あいまいだったレーベル分けを明確にBarracudaとIronwolfとで分けたことで、そういう7200RPMくらいの速度のものは上位グレードのIronwolfでやってねということになった。またNAS利用で重視するポイントとなる耐熱・耐障害性においてはBarracudaはメーカーにプッシュされていないので、NASならIronwolfを買ってねということになる。そうすると値段がWD REDと同程度の8TB-23500円のIronwolfを選ぶことになり2枚買えば4万7000円近くということになる。
とはいえまず一般向けではないだろう10TB以上の容量であるBarracuda ProとなるとIronwolfと同じく3年保証がついているので”Pro”がつくならIronwolfでもBarracudaでも違いないかもしれない。回転速度も7200RPMなので。
逆に大容量HDDでほぼ最安のSeagateと東芝のものはいかほどかというと14TB-39800円、16TB-47000円くらいで、これはアメリカでも大して変わらないが、アメリカだと日本でまず手に入らないお高いSeagate EXOSという企業サーバー向けのHDDが普通に売られていて、日本だと5~6万当たり前にするのが14TB-340USD、16TB-390USDだったりしてかなり差がある。が送料が4000円近くするので結果的に大して変わらない額になり、そもそもアメリカから日本まで輸送が長いことから個人輸入で安さを求めて家に着いたら壊れてました、という恐怖感をサーフェステストが終わるまで持ち続けることになる。それでも日本でも一部にあるように、アメリカでもサーバー用品を個人で購入できるサイトはいくつかあるので試してみる価値はある。あとはFedEXを信じるしかない。
前書きが長くなったがコンペをしよう。しかし結論から言うと「大容量HDD、必要かどうかは用途による」。16TBの塊がほしいことを前提とする。なので8TB 2個でフォルダ分けすればええねんというならこの話は終わりだ。そんな人でもNASは欲しいかもしれないが。
Seagate BarraCuda 3.5" 8TB 内蔵ハードディスク HDD 2年保証 6Gb/s 256MB 5400rpm 正規代理店品 ST8000DM004
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Seagate IronWolf 3.5" データ復旧3年付 8TB 内蔵HDD(CMR) 3年保証 24時間稼動 PC NAS 用 RVセンサーST8000VN004
- 発売日: 2019/10/01
- メディア: Personal Computers
EX1)RAIDケース(HDD2個)に8TB*2を入れる
RAIDといってもぴんきりで2台入りのケースで使えるものは値段も5000円前後で、HDDケースが1台3000円くらいなことを考えると高い感じはしない。そこに排熱が気になるならIronwolfを2台、冷却自分で注意するよ!ならBarracudaを2台入れることにする。とすると、
(Ironwolf 8TB)¥23500 x2 + (RAIDケース)¥5000 = ¥52000
(Barracuda 8TB)¥14500 x2 + (RAIDケース)¥5000 = ¥34000
Ironwolfならもはや企画倒れだがBarracudaならそうでもない。しかしRAIDケースにただ入れるだけでこうはならない。HDD2台用のRAIDに大体ついているのはシングル・JBOD・ストライピング・ミラーリングの4種類がスタンダードだ。そのうちシングルは”ただの外付けHDDx2”だし、ミラーリングは安全管理重視のため1台をバックアップ用にしてある。つまり8TBx(2-1)で使えるのは8TB。そうなるとJBOD(足し算)とストライピングが2台16TBの要件を満たすが、これはどちらか片方が故障すると2台ともデータが機能不全になるという危険な仕様なのでリスキーだということを念頭に置く必要がある。
JBODの使い道は寄せ集めで同じ容量でなくてもいいというくらいしかないが、ストライピングは単純に読み書き速度が倍になるという大きなメリットがある。特に動画ファイルは大きなサイズになるため単純なHDDの読み書きでは遅いが同じ容量のSSDなんて高くて買えないという人たちへの需要はある。彼らは当然バックアップを別個に用意しており、クラウドストレージを月額でやっているようなら別に金を払っていることになる。が自前でバックアップを考えるならコストはさらに膨らむので、ネットに同期したほうがいいという考えも一理ある。
玄人志向 HDDケース 3.5型対応 USB3.0接続 用途に合わせて選べる4つの動作モード/電源連動機能付きで消し忘れを防止 GW3.5AX2-SU3/REV2.0
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- メディア: Personal Computers
EX2)RAIDケース(HDD3~4個)に8TB*3を入れる
自前でさらに安全対策をした場合、HDDが3~4台入るRAIDケースを使ってパリティでつなげることで安全管理と速度アップを叶える期待がある。がパリティは復元中に別のHDDが逝ったら終わりということや、n-1台分の容量になる(8TB*3だと16TB)ことからちょっと惜しい感じもある。そもそも、
(Ironwolf 8TB)¥23500 x3 + (RAIDケース)¥20000 = ¥90500
(Barracuda 8TB)¥14500 x3 + (RAIDケース)¥20000 = ¥63500
というコストになるので、ただ容量が欲しいだけの人には無用の長物だろう。↑の¥20000というのは割と最安値で、だいたい¥25000~¥30000くらいしてしまう。そして、RAIDケースは3台入りというのは珍しく普通は4台入りで値段もかなりなものになるし、HDD4台を縦置きしてセンサーなどの機械が横と奥にあるのでサイズもミニタワーPCくらいのものになる。どこに置くのかということも考えなければならない。
つまり EX1では8TBx2で16TBはいけるけどリスクは大きいですよ、EX2では安全対策両立させた結果価格はどっこいか超えますよということになる。これはつまりRAIDが必要かそうでもないか、という話にもなってくる。RAIDケースが要る場合を想定すると、
・PCの筐体やSATAポートに空きがない
・出先で使いたい(NASの場合)
・普通のHDDより速度を出したい
という場合が想定できる。パリティならバックアップを取りつつ使えるという期待も持てる。逆にこれらを考えなくていい、シャドウベイ・SATAポートが開いていて、自宅とかクローズな環境で(持ち出ししない)、速度は別に気にしない、という場合なら、自宅でNAS導入はそこまで値段としても魅力的ではないということになる。
コンペは16TBでやったので割高感はあるが、最近14TBのHDDは値下がり気味で35000円前後で買えたりする。これは普通の人は高いなあ!と思うところだが、私のように大きな塊が欲しく、かつてST8000AS001(8TB)が3万前後して今もWDは8TBでもそんな価格帯で東芝もちょっと安い程度なことを知っている身としては、16TB-45000円のHDDは相当安くなったと感じる。一方で現状の技術だとプラッタをこれ以上入れられないことや書き込み方法の限界からこれで頭打ちな感じはある。技術革新によって上限突破されるかもしれないが、出たての技術では値段はお察しだしSSDに追い抜かれそうな感じもある。