ホエイプロテインはコーヒーミルクに使えるか
ホエイプロテインは乳清という、ヨーグルトの上澄みの部分だったりするものを乾燥粉末にしたもので、脱脂粉乳よりよりタンパク質摂取にフォーカスした存在だ。
つまり牛乳の遠い親戚みたいなものなので、コーヒーミルクとして使うこともできるのでは、という思い付きである。
結論から言うと「ちゃんと工夫すればいける」。
では普通の牛乳やコーヒーミルクとはどう違ってくるのか考えていきたい。
まず価格で言えばホエイプロテインの方が高価である。
ホエイプロテインのプレーンタイプはだいたい1kg=2000円くらいである。
対して森永クリープは200g=359円、AGFマリームとネスレブライトは260g=227円であり、クリープは割高だがマリームやネスレブライトは1kg換算しても1000円にならない。低脂肪乳だと1L=178円くらいだ。ちなみにこの価格は西友を参考にしたものである。
クリープが割高なのは、他がココナッツミルクを中心にした植物性のものに対して牛乳を使った動物性のコーヒーミルクだからである。
単純にコーヒーミルクとして考えた場合クリープや牛乳を使ったほうが手っ取り早くて値段もかからない。しかしコーヒーミルクを使う理由は何も苦みを抑えるためだけではない。
コーヒーにはシュウ酸が含まれており、これが体内でカルシウムと結合することでシュウ酸カルシウムとなり腎臓で結石になる。これが尿で排泄されれば問題ないが、排泄されなかったシュウ酸カルシウムがくっつくことで、ガンガゼみたいな異形の塊が腎臓や尿管に詰まってとんでもない激痛を起こす。
これを防ぐためにはコーヒーを飲む前にシュウ酸カルシウムにしてしまうことで、牛乳を混ぜると牛乳のカルシウムと結合するので上手く排泄されるようになる。
この目的のためを考えるなら、カルシウムなど入っていない植物性のマリームやブライトは意味がないので除外される。
あとはクリープとホエイプロテインを溶かしたものだ。ホエイプロテインにはカルシウムの含有量は成分表に書いてない。しかし「ホエイプロテイン カルシウム」で検索するといくつかの資料にカルシウムについての言及がされていて、入っていないわけではないことがわかる。
ここで「ちゃんと工夫すれば」という文言が意味を持つ。
つまりクリープは最初からコーヒーミルクとして作られているのでそんなに量を使わなくても味を調えることが出来るが、ホエイプロテインはうっすら牛乳の風味がするほぼ無味であり、コーヒーミルクとして使う場合結構苦みが残る。
そもそも溶かすのが一苦労である。
水で溶けにくいのはコーヒーも同じだが、ホエイプロテインは原則容器に入れて振って溶かすものであり、湯を入れたからと言ってスプーンでちょっと攪拌すれば溶けてくれるものでもない。溶けやすいホエイプロテインがあるものの割高なので、さらに500円くらい増えてもいいならそれでいいが、普通のホエイプロテインはダマになりやすい。
また溶けたとしても今度は泡が3割4割もこっと膨らむので、泡がカップからこんもり盛り上がってても実際中身は半分ということも珍しくないので、泡が収まるまで攪拌するとなるとメレンゲを作るよりマシな程度のしんどい作業になる。
なので面倒なら牛乳を素直に投入した方がいいが、それでもホエイプロテインにするメリットがある。
それは圧倒的にタンパク質が多いことである。
100gあたりで言うと、牛乳では4gくらい、スキムミルクのタンパク質が35gくらいなのに対して、ホエイプロテインは基本100gあたり78gくらいある。ホエイプロテインを買うとスプーンをもらえたりするが、スプーン1杯あたり8gだというから、タンパク質は6.2g取れる計算になる。なのでスプーン3~4杯を溶かしてコーヒーと一緒に飲むだけで、だいたい1日に必要なたんぱく質の半分近く取れてしまうのだ。
またホエイプロテインは消化が早いとはいえ腹に溜まる。つまり満腹感があるので食事の量を減らせるのだ。
そもそも牛乳を飲むと腹が下る人は無理に思うかもしれないが、乳糖不耐症の人でもホエイプロテインのWPI(アイソレート)なら大丈夫なこともあり、この方法を選べないわけではない。ただWPIはWPC(コンセントレート)より溶けにくく高価である。手軽に飲めないところが辛いが、選択の余地はある。
コーヒーミルクには保存料や、場合によっては糖分が入っていることもあり、多用することは健康に悪い影響があるだろう。その代わりにホエイプロテインを溶かしたものをコーヒーミルクにすることは、栄養補給と健康維持の点で優れていると思う。
ちょっと手間がかかるが試してみてほしい。