念願のEXOS Mach.2を手に入れた! でもなんかおかしくない?【ST18000NM0092】
ST18000NM0092 はSeagateの企業向けHDDシリーズ「EXOS」の中でも、Mach.2と呼称するデュアルアクチュエーター搭載のものである。
デュアルアクチュエーターというのは通常ヘッダは一塊で動作するものを上半分・下半分で分割して動作させることでリード・ライト速度を2倍にするというもので、データシートだとシーケンシャル540MB/s出る、つまりSATAのSSDと同レベルの速度が出るというものだそうだ。
もしこれが本当だとしたら、最近値段ががっつり下がっているとはいえSSDは4TB以上の容量は相変わらず1TB/11000円と考えてよい状況なので、HDDでそれが可能ならそれはとっても素敵だなって思ってしまうのでした。
が、いざ買ってみると最初にやるべきサーフェステストが全くと言っていいレベルで進まない。3000MB/分は遅いどころが故障を疑うレベル。ではCrystalDiskMarkではどうだろうか、というと…
おかしくないですか?
シーケンシャル250MB/sと仮定しても、EXOSx18「ST18000NM000J」が270MB/s、EXOSx20「ST18000NM0003D」は280MB/s出る。それらより明確に遅い。
ちなみにこのST18000NM0092というのはSATAモデルで、SASモデルのST18000NM0094とは大きく異なる機能がある。
本来デュアルアクチュエーター内蔵のHDDは半分のサイズのHDDが2個入っている状態なので、このST18000NM0092の場合は9TB*2のHDDが中に入っているという計算になる。
でSASモデルの場合はWindows「ディスクの管理」からでも別々のHDDとして認識されるので、サーバーに組み込む場合その2つのHDDをそのまま投入すれば2倍速というわけだ。ところがSATAモデルの場合はひとつの論理ディスクとして認識するらしい。
でもヘッダが2個動けば2倍速なんでしょ?と思っていました。
ところが海外のサイトを見ると、Dual LUN Architectureというものをが適切に利用できないと、ただつなげただけで540MB/sの速度を享受できるわけではありませんという一文が見つかった。これは「ST18000NM0092 review」というキーワード検索で海外サイトを見て回ったら書いてあった。
どうもその下のコメントを見ると中では前半部後半部で分かれているので各々にアクセスできれば早いという感じだった。
つまり1つの論理ディスクとして認識している以上、ディスクの管理でも記憶域の管理でも「18TBのST18000NM0092」としか認識しないので片肺飛行しかできないということだ。なのでデュアルアクチュエーターが動いてくれるためには半分半分にパーティションを分けて各々にアクセスできるような方法を考えなければならない。
9TBのHDDがふたつと考えるとSATAポートは節約できるかもしれないが、ドライブレター割り当ての必要があるなら聞いたこともないAドライブBドライブなどを駆使して26文字のアルファベットを枯渇しないように取り回しすることになる。
考えられるのは「VVAULT」を使うことだが、VVAULTは言ってみればティアリングのある高級JBODみたいなものなので分割アクセスするわけではないし、取り込みのためにはドライブレターが必要になるので半分こパーティションに各々YドライブZドライブとか割り当てないといけない。
そう言っていざ分割ドライブとして取り込んでみたが全く額面通りの速度を出す様子がないどころが応答時間は1500msとか異次元の領域の上、エクスプローラーが遅延したりマウスのスクロールががたついたりと相当ぼろぼろの状態になる。
誰かこのHDDの正しい使い方を教えてください。
【結論】
とてつもない曲者です。
このHDDは適切な使い方を知っている、もしくはSAS環境の人以外は購入してはいけません。